小さな改善を積み重ねること■東大卒、農家の右腕になる レビュー■

ブックレビュー

僕たちはどこかに

「絶対的に正しい答え」

があって、そこに最短距離で向かうことが一番スマートで、ムダがないと考えている気がする。

誤解を恐れずに言えば、泥臭くいろんなことを試して、そこから学ぼうとしないとも言える。そんな情熱も、お金も、心の余裕もないから。

僕がフリーターを続けているときによく考えていた

「どこかに自分に合った天職が見つかるまで、とりあえずバイトで生活費を稼ごう」

というのは、悪く言えば試行錯誤から学ぼうとしない甘えだったんだろうなと『東大卒、農家の右腕になる。』を読んで感じた。

著者の佐川友彦さんは東大卒業後、外資系の研究開発職としてキャリアをスタートさせたものの、うつ病を発症し退職。紆余曲折を経て、個人経営の梨園に参謀役として活躍するようになった。

彼の人生も波乱万丈で、ストーリーとしても面白かったので、興味がある人はぜひ読んでほしい。

彼がよく主張していたのが「小さな改善」を積み重ねること。

トヨタを始めとする製造業では当たり前に行われている「改善」は、「人」においても効果的なのではないかと、個人的には思っている。

先ほど例にもあげたが、「やりたいことが見つからない」のは多くのフリーターに共通する悩みだ。

だが実際のところ、多くの人がやりたいことを見つけるための行動をしていないのも、また事実。

フルタイムで働かないと生活が成り立たないので、時間的・金銭的な余裕がないのも大きな原因ではあるが、それらも含めて「これだ!」と思う天職が偶然、ふわっと目の前に降りてくるのを待っている人が多い気がするのだ。

多分に漏れず僕もこのタイプで、ネットや本、テレビなどを見て、いいなぁと思う仕事があっても

・いまさらこの年から始めてもな

・経験や知識もないし

・本当にやりたいかわからないし

と始める前からチャレンジしないことが圧倒的に多かった経験が、それこそ腐るほどある。結果、いつまで経っても「本当にやりたいことがわからない」となるのであった。

この経験から僕も学んだのが

「どんなに小さいことでもいいから、選択と実行を繰り返して、そこから学んで次に生かす」

というある種、当たり前とも言える学びだった。

大きなリスクを伴うものでなければ、とりあえずやってみる。これが出来ないと、スタート地点にすら立てないことに、35歳にしてやっと気づいた。

僕は今月から、とあるゲームのデバッグの会社に勤め始めた。実際に働き始めて改めて思ったのが

・ずっと座ったままの仕事が苦痛

・知らない人が複数いる状態が苦手

ということ。

そんなの働く前からわかるでしょと思う人が多いかもしれないが、僕にとっては、実際に自分の身で体験し、心で感じないと理解できないのだ。

そしてここで大事なのが、なぜ自分はこんなにダメなのかと責めるのではなく、どうしたらこの学びを次に生かせるのかを徹底的に考え抜くこと。

ここがうまくいかないと、いつまでも自己肯定感の低い、つらいみじめな感覚が抜けず、せっかくの学びを活かせないことになる。僕もこれが身を持って理解できるようになるまでに、長い時間がかかった。

ある程度いいなと思えたことは、行動に移し、そこから得た学びを元に、次の行動に移す。最初から満点を目指さずに、少しでも良くなったらそれでいい。

そんなことを再認識させてくれた本だった。

★★★

・課題の山は、可能性の山

・結果が目につくところ(掃除)からスタートしたことにより、これから変化するという期待が伝わる

・合格点に達していなくても、昨日よりよくなっていると割り切る

・個人農家で、非生産部門の専任スタッフは世の中にあまりいない

・「話す」ことが大好きで、小さいころから口が達者と言われてきた

やはり得意なことは、自分ではそれほど努力した覚えがなくとも、周りが勝手に評価してくれるものだと改めて思う

 

 

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